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ビートルズはかく語りき ロックアルバムの定義が変わった日:ラバーソウル

      2017/06/12

1965年12月3日 ビートルズの6作目にあたるオリジナルアルバムRubber Soulはリリースされた。

ビートルズ自身が作詞作曲・演奏だけでなく、スタジオでのレコーディングテクニックにも興味を示し、その創造性の手を伸ばしはじめたターニングポイントになるアルバムだ。

このアルバムより前にビートルズが解散したとしても、ビートルズは偉大なロックバンドとして歴史に名を残しただろうが、本当の意味でビートルズがビートルズになったのはこのアルバムからだ。

とも言われるほど重要な作品だ。

また同じ日に We Can Work It Out / Day Tripper という強力な両A面シングルも同時発売されている。しかも2曲ともアルバムには収録されていない。

 

本アルバムはぼくと誕生日が同じということもあって、特に好きなアルバムの1つなんだけど、今日はビートルズのメンバー自身がラバーソウルに収められた楽曲について語っているインタビューを読みながら、アルバムの魅力を再確認でたらと思う。

 

例のごとく臨場感を出すため、ビートルズの言葉は関西弁で訳してあるので、ご了承いただきたいw

 

A面

 

Drive My Car

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ジョージ
ポールが曲作ってスタジオに持ってくる時はな、だいたい全部のパートもできてて、「はい、こう弾いて」って感じやねん。
口出しする隙を与えてくれへんw
このDrive My Carの時は、オーティス・レディングのオリジナル版“Respect”のベースラインを参考にして弾いたんや。参考っていうか、パクリやけどw
オレがギターで弾いて、ポールがそれと重ねてベースで弾いたんや。で、さらにイントロとかリードパートを重ねたと。
ジョン
ポールの曲や。手伝ってるけどな。
ポール
ジョンとオレが苦労した曲の1つやわ。
オレが最初に書いてた歌詞は「金の指輪(golden rings)」がどうのこうのって、まあいつものごとくヒドイもんやw
「指輪」て・・・ないわ。ringsとthingsで韻踏んでって、ダメダメや。
せやしスタジオに入った時みんなに言うたんや「詞はあかんけど、曲はええで」ってな。
いろいろ考えて・・・でもジョンもいいの浮かばんし・・・また考えて・・・
最終的に、「あかんわポール、もうこの曲やめよ。」ってとこまでいったんや。
「いやいや、でけるて。もうちょいがんばろ。」
ほんでちょっと休憩して、また再開したんや。
まあなんとか “gol-den-rings”の部分が”drive-my-car”になったんや。
スバらしいやろ、この意味深なフレーズが・・・

 

歌詞では相当苦しんだようで興味深い。

これがリフの元ネタ、オーティス・レディングのRespectだ。

この曲も1965年の曲なんだけど、モータウンの最新曲を堂々とパクるところがビートルズらしい。

本当に黒人音楽をリスペクトしていないとできないことだね。

 

 

Norwegian Wood

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ジョン
オレの曲やな。でもポールにも歌詞手伝ってもろたわ。
ジョージ
ちょっと前にロンドンで安もんのシタールを買うてたんやけど。それをノルウェイの森でちょっと弾いたんや。
ジョン
ノルウェイの森は完全にオレの曲や。実際オレの浮気についてのことなんや。
シンシアには外でしてることは知られないように、かなり注意してたんやけど。
まあ常にそういうことはあったし。ほんで、浮気に関して洗練されたやり方で曲を書いてみよかと思ったんや。
スモークの張った状態っていうのかな、わからんようにな。
でもそういう女の子のことは全然覚えてないわ。
ポール
ノルウェイの森の最後で、「家が焼かれる」ってとこ考えたんはオレや。まあ、大して重要なとこやないけどな。

 

ジョージのシタールがなければどうなっていたのかと心配するほどこの曲にハマっているよね。

でもこれジョンの実話やったら、だいぶおもろいなあw

 

You Won’t See Me

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ジョン
ポール

ポール
だいたい曲作る時、ギターで作ってもピアノで作っても、完全なコード(トライアド以上のということか)で作ってくるんが普通なんやけど。
このYou Won’t See Meの時は、2音だけ重ねたシンプルなフレーズで進行させたんや。ギターの1弦と2弦(高音弦)だけでな。で、その進行を元にこの曲ができたんや。
100%純粋にオレの曲、でもオレは常にジョンとの共作にしておく方がハッピーで、つまりセッション中のジョンの「この方がええやん」っていうのが聞きたいんやろな。

ポールのこの言葉はジョンへの愛にあふれているね。

 

Nowhere Man

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ジョン
その日の朝、なんかええ曲作ったろ思って、5時間くらい頑張ったんやけど、結局あきらめて寝っころがってたんや。
ほな「Nowhere Man」っちゅう言葉とメロディが浮かんできて・・・ゴロゴロしてたら、ほぼ丸々降ってきたな、あとは実際に形にするだけや。
何事も捕まえようとすると逃げてまうもんやなあ。
ほら、部屋の電気つけてゴキブリがササって逃げよったら、もう捕まえられへんやろ。
曲作りもそれと一緒やな。
ポール
ジョンの曲や。ジョンが夜遊びした後、もう夜が明けてな。あの頃のジョンは、なんかちょっと迷ってる感じやったなあ。
ポール
そうそう、思い出すわ。とにかくギターを聞いたことないくらいトレブリーな音にしたかったんや。
エンジニア「わかった。トレブルをフルにするわ。」
俺ら「まだ足りひんなあ。」
エンジニア「いや、でもこれがいっぱいいっぱいやし。」
俺ら「その出力を別のコンソールにつないで、そのトレブルもフルにしてーな。それでも足りひんかったら、また別のにつないで・・・」
エンジニア「そんなんできひん。」
俺ら「試すだけ試してみてーな。それでヒドイ音になってもうたらあきらめるし。でもよくなるかもしれんやろ。」
で、結局「ええやん」ってことになって、エンジニア達も密かに喜んでたと思うで。
そんなことしたエンジニアはおらんかったし、ちょっとした自慢になったんちゃうかな。

 

ごろごろしてたらこんな曲が降ってくるなんて、すごいなあ。

それにしても曲作りをゴキブリに例えるなんて、ジョンの頭はどうなってるんだw

 

Think For Yourself

Omnibus Press - The Beatles (20)

ジョージ
Think For Yourselfは歌詞見たら誰か特定の女の子のことみたいやけど。
でももう誰の事やったかは思い出せんわ。ひょっとしたら政府の事かもな。

 

えー!この曲が政府に対する当てこすりソングだったかもなんて!

すでにTaxmanへの布石ができてたのかもね。どっちも音歪んでるし。

 

The Word

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ジョン
The Wordはポールとの共作や。メインはオレやけど。
歌詞は、スマートに(賢く)なることを歌ってるんや。
マリファナが流行った時で。ラブやん。ラブアンドピースの時代やな。まさに愛の言葉や。

 

こういう曲に関するインタビュー読んでると、「オレがメインで作った」とか「ここはオレが書いた」とかやたら貢献度を主張してくるのが多い気がする・・・^^;

 

Michelle
ジョン
ポールがなんか外国語で書いてみよ、みたいなアイディアがあって。フランス語か。
Aメロのモチーフと歌詞がちょっとあって。その時はミッシェルじゃなくてなんか別の名前やったと思うわ。
とりあえずポールはデタラメのフランス語で歌っとったわ。
持ってきたときは作りかけで、ミドルエイト(真ん中の8小節)は苦労したなあ。
ジョン
ポールとオレはどっかに泊まっとって、あいつが鼻歌で最初の何小節か歌いながら部屋に入ってきたんや。
ほんで「こっからどうしよ?」って聞いてきよってな。
オレはその時ニーナ・シモン(ブルースシンガー)を聴いてて・・・曲は“I Put A Spell On You”やったかな。その中に “I love you, I love you”ってラインがあったんや。
それがMichelleのミドルエイトを生ませたわけやな。
せやし、オレがしたポールの曲への貢献っちゅうのは、だいたいブルージーな要素を加えるってことが多いな。
それがなかったら、Michelleはもっと「どストレートなバラード」になっとったんちゃうか。
あいつの持ち味は「軽さと、楽観」に対してオレは「悲しみ、不和とブルーノート」やな。

 

 

ポール
Michelleのベースラインは忘れられへんな。ちょっと(クラシック作曲家の)ビゼーみたいやろ。
めっちゃ曲を支配してるやん。ベースでこんなことできるなんて、マジ興奮したわ。

 

ミッシェルのミドルエイトはブルースからインスパイアされてたんですねー

ポールの天才的なバラードにジョンのブルース要素が加わると・・・無敵のビートルズソングになるわけか!

 

B面

 

What Goes On

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リンゴ
オレはWhat Goes Onでは作詞で5単語貢献してるで(笑)それだけ。
ジョン
ビートルズより前の、クオーリメンとかその頃のオレの曲や。ほんでポールとミドルエイトを書きなおして、リンゴにあげたんや。なんでも無駄にはしたないしな。

 

5単語て(笑)リンゴかわいい。

 

Girl

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ジョン
オレの曲で、美女の歌やな。その頃にはおらんかったけど、ヨーコやったんやな。
ポール
ジョンが持ってきて、でも共作かな。”the pain and pleasure”とか”a man must break his back” の部分は書いたん覚えてるわ。
レコードにシモ系の言葉とか入れるんが楽しみでな。ビーチボーイズのラララ・・・の無邪気な感じが好きで、パクりたかったんやけど、全く同じというわけにはいかんし、別のフレーズを探してたんやけど。
dit dit dit dit(トントントントン)をtit tit tit tit(おっぱいぱいぱいぱい)に変えてわろてたんや(笑)
そんな感じのことが好きでな、ジョージ・マーチンが「dit dit?tit titかどっちで歌ってるんや?」って訊くもんやから、「dit ditやんジョージ、でもちょっとそう聞こえるかな」とか言うて車ん中で爆笑してたわ。

 

美女がヨーコやったというジョンのノロケはさておき、男子は小悪魔的女子には弱いもんだw

tit titの逸話を聞くと、この頃のレコーディングが本当に楽しみながらされているのがよく分かるね。

 

I’m Looking Through You

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ジョン
ポールやな。ジェーン・アッシャー(当時のポールの恋人)とケンカしてたんちゃうかw

 

まあ確かに、ポールにしては珍しくちょいネガティブな内容なんで、なんかあったなって感じやねw

 

In My Life

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ジョン
自分の人生を意識して書いた最初の曲やな。
(歌って) ‘There are places I’ll remember all my life though some have changed…’
それまでは、エバリー・ブラザーズとかバディ・ホリーとかそういうポップスやからね。
言葉とかはほとんど重要じゃなかったな。
In My Lifeはバス旅行みたいな感じで、メンローヴ・アヴェニュー250のオレの家から町へ向かう。
その中で覚えてる場所を書いていって・・・アホみたいやけど。
「休日のバスの旅」的な退屈な歌になりかねんとこやw
でものんびりリラックしてたら、詞が浮かんできてな。ポールがミドルエイト手伝ってくれたわ。
初めてホンマにええ作品できたなって思ったわ。それまではなんか上辺だけのどうでもええのばっかりで。
自分の中の文学的要素を歌詞にした初の作品でもあるな。
ポール
メロディはオレ書いたんちゃうかな。そこはいつも言い争いになるとこやけどw
ジョンが完全に忘れてるか、オレが書いたとは思ってないかのどっちかや。
ジョンがこの詩みたな歌詞を書いたんは覚えてる。ジョンが覚えてるいろんな人達・・・みたいな詩ね。
ジョンの持ってたメロトロンに座って、30分でメロディは書き上げたん覚えてるもん。ミラクルズからヒントもらってな。実際ミラクルズはアイデアの宝庫やね。

 

まあポールがここまでハッキリ覚えてるんやから、メロディはポールと考えてもよさそうやね。

それにしても全くスキのない素晴らしい名曲。ジョン本人も納得の作品だ。

 

If I Needed Someone

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ジョージ
If I Needed Someoneはええな。Dコードで指を動かしたらメロディができる。
同じ音でもまだまだ曲ができるっちゅうのは、驚きやな。

 

ジョージの12弦が冴え渡る。ジョージもいい曲書くようになってきましたよ!

武道館でもちゃんと12弦に持ち替えてるしね!

 

Run For Your Life

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ジョン
プレスリーの古い曲の一節を拝借してるわ。
出だしの’I’d rather see you dead little girl than to be with another man’はプレスリーがやってた古いブルースから取ってる。
取るに足らん曲で特に思うこともないわ。でもジョージのお気に入りやからね。

 

ぼくもだいぶ好きな曲だけど、ジョン本人はどうでもいい曲みたいね。

詞をパクってるところも気に入らないんやろうね。じゃあなんでアルバムのトリにしたんだw

 

このアルバム以降ビートルズはカバー曲に頼ることがなくなり、ライブ活動を停止する日も刻々と近づいてきた。

スタジオにこもる時間もどんどん長くなっていき、次作のリボルバー、サージェント・ペパーズとレコーディングの新たな常識を次々と開拓していくのであった。

 

いやーそれにしてもポールはいろんなことよく覚えてるね。

 

参考文献:Beatles Ultimate Experience

 

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