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【追悼】デヴィッド・ボウイ辞世の句 ★(Blackstar)

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存在そのものがアートだったロックスター

 

みんな元気か、トミー(@TomoyaTommy1203)だ。

 

2016年1月10日 デヴィッド・ボウイ がこの世を去った。

その2日前の1月8日に69歳の誕生日を迎えたところであり、ニューアルバム★(Blackstar)リリース直後の訃報だった。

 

ぼくが大好きなロックアーティストは時代的にすでに解散していたり、この世を去ったりしていることが多いので、ボウイはその中でも生で目にすることができた数少ないロックスターの一人なのである。

 

目次

The Outside Tour

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1995年9月にリリースされたアルバムOutsideはサイコホラー映画のような世界観でボウイの作品の中でもベストに入る傑作アルバムだ。

 

そのアルバムのツアーとして来日したボウイを、ぼくは1996年6月10日 大阪城ホールでみていた。

アルバムの収録曲とScary Monsters、Diamond Dogs、Andy Warhol、世界を売った男・・・などなどファンの心をくすぐりまくる選曲だった。

 

特に本編最後のLust For Life (Iggy Pop)、Under Pressure(Queenとの共作)そしてHeroesが生で聴けたことはぼくの人生の宝と言っても言い過ぎではなかった。

 

そしてアンコールでのWhite Light, White Heat(Velvet Underground)、Moonage Daydream、オーラスはMott the Hoopleに提供した、すべての若き野郎ども・・・
もう何も言うことはなかった。

 

 

ボウイ辞世の句★(Blackstar)

18ヶ月、癌と戦っていたことはごく近しい身内と関係者しか知らされていなかったという。

ボウイは自らの死期を知っていたし、それを知ったうえで最後に★(Blackstar)という“死をロックさせた”アルバムをぼくたちに残してくれた。

 

特に最後のシングルとミュージックビデオ Lazarusは最後の別れの言葉としてリリースされたのだ。

Lazarusというのは、墓に入れられてから4日後にキリストが死から蘇らせた人物の名前だそうだ。

 

 

ほんとうに最後の最後まで、自分の死をもアートの一部として取り込んで表現したボウイ・・・

ぼくはそれを知った時「サムライか!」と一人でツッコんで泣いていた。

 

ではボウイがこの世で最後に残した辞世の句を存分に味わおうではないか。

 

Blackstar

アルバムのタイトル曲でありオープニングのこの曲は、陰と陽の組曲のような構成で10分近い見事な大作。

 

前半の陰の部分はすでに死の匂いを漂わせている。

On the day of execution, on the day of execution
(死刑執行の日)

Something happened on the day he died
(彼の命日に何かが起こる・・・)

 

そして自分は映画スターでもなくポップスターでもなくブラックスターだと繰り返すボウイ。

まるで一緒にあの世に連れていかれてしまうような錯覚に陥ってしまう。

 

In the villa of Ormen, in the villa of Ormen

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’Tis a Pity She Was a Whore

2014年にリリースされたシングルSue (Or in a Season of Crime)のカップリング曲。

娼婦について歌われている曲だ。

 

自由すぎるサックスのプレイが印象的で、間奏なんかは初期のRoxy Musicを連想して思わず笑ってしまった。

 

Lazarus

Look up here, I’m in heaven(見上げてみろ、僕は天国にいる)

I’ve got scars that can’t be seen(目には見えない傷を負って)

 

まさに最後のメッセージが盛り込まれた作品として、PVも公開された作品。
ビデオの中では病床のボウイが最後には踊りながらクローゼットの中へ消えていってしまう。

 

By the time I got to New York
I was living like a king
Then I used up all my money
(ニューヨークへ行くまでは王様みたいな暮らしだったが、お金を使い果たしてしまったよ)

 

という部分はぼくは昔の回想のように思えた。

イギリスからアメリカへわたり、そしてニューヨークの喧騒から隠れるように、ドイツのベルリンでブライアン・イーノと共にベルリン3部作を作り上げた当時のことなのかもしれない。

 

Oh, I’ll be free
Just like that bluebird(ぼくは自由になる、あの青い鳥のように)
Oh, I’ll be free
Ain’t that just like me?(ほら、ぼくみたいだろう?)

 

 

 

 

Sue (Or in a Season of Crime)

2014年のアルバムNothing Has Changedに収められていた曲のリメイクだ。

Sueという女性に向けた歌。

詩からは彼女は病床にあると思われる

 

The clinic called

The x-ray’s fine

 

Sue, you said you want it written

Sue, the virgin on your stone

For your grave

 

病院からレントゲンに異常はないと電話がかかってきたり。

墓石の話をしたりと、奇妙な不気味さが曲全体に充満しているような曲で、ぼくはアルバム中ベストトラックだと思っている。

Sueはボウイ自身のことかもしれない。

 

Girl Loves Me

ボウイはスタンリー・キューブリック監督時計仕掛けのオレンジが好きで、ジギースターダスト時代の歌詞にもその影響がみられる。

 

この曲でも「デヴォチカ」「ヴィディー」「ヴェロセット」「マルチック」といった未来の若者言葉ナッドサットが使われている。

歌詞はそのナッドサットとPolariというゲイのスラングが混じっているようで、 はっきりいって意味はよくわからない(笑)

 

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Dollar Days

やさしいギターとピアノの音色で始まる

 

I’m trying to

I’m dying to

の繰り返しは胸が締め付けられる思いがする。

 

曲はドラムスのクロスフェードでいよいよラストナンバーへと渡っていく。

 

I Can’t Give Everything Away

終始一定の不気味さが漂っていたこのアルバムも最後のこの曲で光がさしこむようだ。

 

Seeing more and feeling less(たくさん見ても、感じることは少ない)

Saying no but meaning yes(ノーと言っているがイエスという意味だ)

This is all I ever meant(ぼくが言えることはこれだけ)

That’s the message that I sent(これがぼくからのメッセージだ)

 

最後のメッセージだと言わんばかりの歌詞の後

 

I can’t give everything away…(ぼくが全てをを与えることはできない)

 

というタイトルリフレインを残してボウイの辞世の句は幕を閉じるのだった。

 

まだどこか信じられない

妻からLINEでボウイの死を知らされた直後は

「またまた!ちょっと冗談の過ぎるアルバムのプロモーションですか?」

とにわかには信じられなかったし、正直今でもこの地球上のどこかでニヤニヤしている異星人ボウイの顔がちらついてならない。

 

デヴィッド・ボウイの死。

 

それは一個人の死というより、ロックがアートであった時代がまた一歩遠くなった、そんな無常な悲しみに溢れた事件のように思えてならない。

 

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この記事を書いた人

ビートルズ、デヴィッドボウイ、太宰治、ジョジョが大好き。
ネットにつながるスナフキンを目指し、ブログを運営する。

音楽 シーズー 英語 日本語 ビートルズ
The Anfields ジョンレノンパート

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