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火星人でもわかる!ベストアルバム Legacyでボウイの歴史をおさらいしてみよう 前編

      2016/12/30

デヴィッド・ボウイが今年、2016年1月10日にこの世を去ってから、映画のリバイバルやエキシビジョンの催し等、追悼イベントが盛んに行われているよね。

11月11日にリリースされたベストアルバムもその1つ。

Legacy / レガシー ~ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ

とタイトルされたこのベストアルバムはちょっと変わった売られ方をしていて、

1CDと2CDの2種類のパッケージがリリースされている。

値段がが300円ほどしか変わらないので、わざわざ1CDの方を買う理由はないと思うんだけど、なんでこんな売り方をしたかは謎^^;

 

ぼくはあまりベストアルバムは好きじゃない。

アーティストにとってベストはもちろん完成されたアルバムだからね。

とはいえ、初めてそのアーティストを聴く人や、ボウイのようにキャリアが長かったり変貌が激しいアーティストの歴史を俯瞰するにはいいと思う。

 

今日はこのボウイのオールタイム・ベストであるLegacyで彼の残した遺産を時代順におさらいしてみよう!

 

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ジギー前夜

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  1. Space Oddity (2009 Remastered Version)
  2. The Man Who Sold The World (2014 Remastered Version)
  3. Changes (2014 Remastered Version)
  4. Oh! You Pretty Things (2014 Remastered Version)
  5. Life On Mars? (2016 Mix)

アルバムで言うと1969年のSpace Oddity、1971年の世界を売った男Hunky Doryの3枚。

スタンリー・キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」にインスパイアされて書かれたというSpace Oddityはボウイの持つ儚さと美しさがようやくヒットへと結実した出世作だ。

名作Hunky Doryから3曲選ばれているが、3曲選ばれているアルバムはこのHunky Doryと次作Ziggy Stardust、そして最大のメガヒットLet’s Danceのみ。

いかにこの時代のボウイのロックが神がかっていたかはジギー・スターダストの記事でも書いているので、あまりボウイのことを知らない方は読んでみてください。

個人的にはHunky DoryのQueen Bitchはパンク・ロックの始祖として入れて欲しかった!

Life On Mars?の2016 Mixはギターのない斬新なミックスになっており、ボウイのまるで古いアンティークとSFが交錯する世界観が際立っているミックスだ。

 

ジギー、アラジン 異星人の時代

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  1. Starman (Single Mix) [2012 Remastered Version]
  2. Ziggy Stardust (2012 Remastered Version)
  3. Moonage Daydream (2012 Remastered Version)
  4. The Jean Genie (Single Mix) [2014 Remastered Version]
  5. All the Young Dudes
  6. Drive-in Saturday (2013 Remastered Version)
  7. Sorrow (2013 Remastered Version)

1972年のZiggy Stardust、1973年のAladdin Sane、カバーアルバムPin Upsからの選曲。

シングル盤のみリリースされているロックアンセム、All the Young Dudes(すべての若き野郎ども)はヒットにめぐまれなかったモット・ザ・フープルにあげた曲だ。

神アルバムZiggy Stardustについてはどの曲を選ぼうが選びきれないので妥当な3曲といったところか。

このアルバムだけはなんとしてもアルバムまるごとで聴いて欲しい!

これはもうお願いじゃなくて命令である。聴けぃ!

 

 

人気絶頂のジギーの存在を自ら葬り去ったボウイは、よりセクシャルな狂気を感じさせるアラジン・セインへと変貌をとげる。

スタジオの前で適当に撮ったジギー・スターダストのジャケットと違い、アラジン・セインのジャケットは数々のパロディを生んだほど、強烈なインパクトだ。

世界中で何人のボウイ信者が鎖骨に水を入れようとして床を水で濡らしたことだろう!

 

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カバーアルバムのPin UpsからSorrowが選ばれている。

どうせカバーを選ぶならローリング・ストーンズのLet’s Spend The Night Togetherキメセクバージョン(キメセクの意味がわからないよい子はパパかママに聞いてみよう)でもよかった気もするが・・・まあよしとしよう。

 

アメリカン〜シンホワイトデューク

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  1. Rebel Rebel (2014 Remastered Version)
  2. Young Americans (Single Edit) [2014 Remastered Version]
  3. Fame (2014 Remastered Version)
  4. Golden Years (Single Version) [2014 Remastered Version]

ボウイが最も痩せこけていた時代。病的に白く、ガリガリで見ているこっちが心配になるレベルだ。

まだ異星人のニオイの残しつつ、半人半犬の異形の生物と化した1974年のDiamond Dogs。

その容貌とは裏腹になんともパワフルなアメリカン・ソウルに挑戦した1975年のYoung Americans。

そしてクスリ漬けで痩せこけた容貌とナチスドイツに傾倒しているかのような行動や発言で、ボウイのキャラクター史上最凶最悪の「シンホワイトデューク」を生んだ1976年のStation to Stationだ。

Young Americansからはタイトルナンバーとジョン・レノンとの共作であるFameが選ばれている。

Fameに関しては楽曲的に特にジョンが貢献した部分というのはなさそうだが、ボウイいわく

ジョンが同じ空間にいたという事が僕にこの曲を書かせた。だからこれは共作なんだ。

そばにいるだけで人に曲を書かせてしまうジョン・レノンって一体・・・

他にもこのアルバムの中ではビートルズのAcross The Universeをカバー(あまり評判はよろしくない)していたり、Young Americansの女性コーラスがA Day In The Lifeの一節を歌ったりと、ビートルズファンの食指が動くポイントも多いアルバムだ。

 

Station to Stationの頃には伝説のカルト映画になった「地球に落ちてきた男」も公開されているし、アルバムジャケットも映画のワンシーンから取られている。

Young Americansでは白人のボウイがいかに黒人に近づけるかというコンセプトだったけど、Station to Stationでは黒人に近づくのではなく、白人がいかに黒人の音楽を取り入れるかという方向に変化し、結果後者の方が独自のファンキーさを生むことになった。

 

個人的にはStation to Stationからタイトル曲(10分を超える大作)やTVC15など、もう少し選曲して欲しかったなあ。

 

ベルリンへ引きこもる

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  1. Sound and Vision (2014 Remastered Version)
  2. “Heroes” (Single Version) [2014 Remastered Version]
  3. Boys Keep Swinging (2014 Remastered Version)

ボウイいわく「悪い友人たちから逃げる」ように、当時最も政治的緊張下にあったドイツのベルリンへ引きこもった。

ベルリンの壁近くにあるハンザ・スタジオで元ロキシー・ミュージック(担当パートはノイズ)のブライアン・イーノと1977年にLow、”Heroes”、1979年にLodgerを制作する。

世間ではパンク・ニューウェーブの嵐が吹き荒れる中、時代に逆行しつつも新たな境地と緊張感で張り詰めたサウンドに溢れている。

 

各アルバムから1曲づつというのは苦渋の選択だったと思うけど、Lowはボウイの最高傑作に挙げるファンも多い作品だ。

ちょっとボウイ上級者アルバムだけど、これもぜひ通して聴いて欲しい。

 

 

ボウイのPV集についての記事でも書いたんだけど、Boys Keep Swingingの女装ボウイは必見なのでこれもぜひ観て欲しい。

 

70年代カルトヒーローとの訣別

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  1. Fashion (Single Version) [2014 Remastered Version]
  2. Ashes to Ashes (Single Version) [2014 Remastered Version]

ベルリンを後にし再びアメリカへ戻ったボウイは、1980年にアルバムScary Monstersを発表。

70年代に築き上げたカルトなロックスターとしての自分と訣別の宣言をする。

自身の名曲Space Oddityの登場人物であり、一人宇宙へと旅立った永遠のヒーロであったはずのトム少佐は、ただの麻薬ジャンキーだったんだ・・・というファンにとっては衝撃の事実を突きつけるという暴挙にでる(笑)

 

サウンドはニューウェーブを押し出したもので、ベルリン三部作と比べるととても聴きやすいのだが、ファンにとっては心中複雑な作品であるのは間違いない。

 

カルトヒーローとしての自分を完全に葬り去ったボウイは、これ以降俳優業にも精を出し、誰もが知るメジャーなビッグスターとしての地位を築いていくことになる。

 

Legacyの1枚目はここまで!

ここで彼が死んでいたとしても70年代の彼の素晴らしい音楽遺産は永遠に語り継がれていただろう。

ボウイのキャリア全体でみてもここが大きな分岐点になるので、以降は後編へ続く!

 

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