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【おすすめ書籍】筒井康隆の七瀬三部作 君は心を読まれても大丈夫か!?

      2016/12/30

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超能力ブーム

ぼくが小学生の頃、超能力ブームというのがあってね。

その火付け役はユリ・ゲラーというイスラエル出身の超能力者だったんだ。

スプーン曲げテレパシーといった超現実的な能力で一世を風靡し、日本のテレビ番組などでもたびたび特番が組まれ、その真偽を疑うことのなかった子どもたちは熱狂してマネをしようとしたもんだ。

 

日本ではいかんせん超能力というと、どこか胡散臭い、インチキじゃないかという風潮が強いようだけど、欧米では超心理学という学問として確立していて、サイコキネシスやテレパシーといった超自然的な能力のことをESP(Extra-sensory perception)と呼ぶ。

ぼくらの通常の五感以外の知覚・能力ってこと。

もちろん日本でも研究されていると思うけど、この分野では欧米のほうが進んでいるようだ。

 

七瀬三部作

こういった超能力の存在や、ユリ・ゲラー氏の能力の真偽はさておき、超能力というのはSF小説や映画が扱うにはうってつけの面白い題材であるのは間違いないよね。

超能力を扱った小説といえば、真っ先に思いつくのは筒井康隆の七瀬三部作

「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」の3作で、火田七瀬という美少女エスパーにまつわるお話だ。

 

 

七瀬の能力は、人の考えていることや意識が読めるという精神感応者(テレパス)で、第1作の家族八景ではさまざまな家庭をお手伝いさんとして渡り歩き、人間の心の弱さ、醜悪さ、そして精神感応者である七瀬自身の苦悩が描かれている。

 

第2作の七瀬ふたたびでは他の能力を持つ超能力者も登場してくる。

たとえば、念動力(サイコキネシス)予知能力、時間旅行、透視能力といったもので、それらの超能力者と七瀬の友情や戦いが描かれており、家族八景よりもエンターテイメント性の高い内容になっている。

第3作のエディプスの恋人は、ある高校へ教務課職員として勤務する七瀬が、1人の生徒のことを調査するところから始まる前半はサスペンス色の濃い作品。

そして七瀬は突如恋に落ち・・・神の存在を知る・・・人間の存在を問う問題作だ。

もう超能力とかいう次元をはるかに超えた存在が描かれているので、続編とは言い難いけどね。

前2作との繋がりも最後の最後になるまで出てこないし。

 

つまり3部作とはいっても1作づつ作品の色が全然違うので、飽きることなく3作違った気分で楽しめる傑作だ。

 

超能力者の苦悩

作中の設定で面白いなと思ったのは、どの超能力者も1人1能力であるということ。

サイコキネシスとテレパスを両方持った超能力者はいないということだ。

そしてどの超能力者も自分の能力が一般人に知られることを極端に恐れているということ。

つまりテレビに出て自分の能力を披露するなどもってのほか、自殺行為というわけだ。

そういえば「曲がれ!スプーン」という映画の中の超能力者たちも自分たちの能力をひた隠していた。

なぜかというと、人間は本質的に異質のモノを排除しようとする本能を持っているからだね。

それが優れていようと劣っていようと関係なく・・・むしろ自分たちより遥かに優れた能力を持ったモノは、「自分たちが支配されてしまう」ということに対する防衛本能から即刻排除の対象となるだろうね。

特にテレパスという超能力者の中でも嫌われる傾向にある力を持った七瀬は、時に自分の能力を嘆き、呪う姿もみられる。

 

最後に

おすすめと言っておきながらなんだけど、第1作は特に衝撃の強い作品なので、心臓の弱い人は読まないほうがいい(笑)

この作品の読後は、いつ誰に心を覗かれても大丈夫な意識を持とうと思うんだけど、それは聖人君子でもない限り難しいことだ。

まあ、男としては七瀬のような美少女に心を読まれるほど恥ずかしいことはないよね(笑)

 

常人にはない能力を持ったのが超能力者というなら、モーツァルト、ベートーベン、ビートルズ、ピカソといった常人では生み出せない作品を生み出し、人々を感動させるアーティストも広義での超能力者ではないかと、ふと思うのであった。

 

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