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ビートルズと華麗なる転調の世界 その1 ペニーレイン

      2017/08/01

前回、転調の概要を説明したので、実際の曲でみてみましょう。

曲はポールがビーチボーイズ風サウンドを目指したという、Penny Lane(ペニーレイン)

 

 

この曲の基本となるキーはBという#がいっぱい付くキーです。

ビートルズの全ての曲の中でもBの曲は他にぱっと思いつきません。

 

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始まってすぐ、マイナーへの部分転調

初めの1小節、ベース音は降りていきますが、コードはキーの主和音であるBで幕を開けます。

こういうコードのことをトニックといって、キーの中で最も安定したコードで、始まりや終わりに使われることが多いです。

もちろん例外もありますけどね^^

 

そして2小節目でサブドミナントの代理コードであるC#m7ドミナントセブンスF#7と続きます。

このドミナントセブンスはキーの中で不安定な音程が含まれているコードなので、これを落ち着かせよう、安定させようとする力が働きます。

トニックへ進んで安心したいんですね。

3小節目ではちゃんとB(トニック)に戻ります。

この流れはクラシックの時代からある循環コードの流れで、音楽の基本的な流れです。

 

そして4小節目で突如Bm7が現れ、同主調のマイナーキーに転調します。

晴れた青い空に雲が陰る感じですね。

 

そしてベースは降りて行きながらF#7sus4、しれっと元のキーのドミナントセブンスのF#7へ戻してBメジャーに帰ります。

1回目のヴァース(Aメロ)が終了しました。

Aメロの頭がトニックなので、Aメロの最後をドミナントセブンスにすると、頭に戻りやすいんですね。

 

転調先ドミナントを使った全音下への転調

2回目のAメロも同じ流れで進んでいきます。

普通はこのままサビも同じキーBのまま突入しますが、転調に凝っていたポールはそんなことはしません。

ビーチボーイズには負けてられないのです!(笑)

 

さあ、サビの直前で旅行の準備。

どこへ行こうとしているのか?

 

ポールはサビでキーAに旅行しようとしています。

Aは元のキーBから見たら全音下のキーで、調号は#が2つ消えるだけですね。

距離としては日本からタイかシンガポールくらいかな?(笑)

 

旅行の準備としてここで初めてキーBの本物のサブドミナントであるEを出現させます。

歌詞で言うと very strange の所ですね。

 

実はこのEは旅行先であるキーAから見るとドミナントであり、Eを置くことによってスムーズにキーAのトニックであるAに進む力を得ています。

 

無事旅行先に行ったからといって安心してはいけません。

その地に永住して骨をうずめる覚悟でなければ、必ず戻ってこないといけないのです。

「家に帰るまでが転調」です!

 

サビが終わってAメロに戻るにはキーBに帰らないといけないですね。

帰りもほぼ同じ方法で戻ります。

つまり行き先のキーのドミナントというパスポートを使って戻る方法ですね。

 

今度はAからBに戻るので、帰国先キーBのドミナントセブンスであるF#7で戻ります。

F#7はキーAの中では平行調F#mの同主調コードなので、親戚で言うと叔母さんみたいな感じで遠くはないですが、行きよりは唐突な感じで戻ってますね。

 

いよいよクライマックスへ

そしてAメロ1回分の尺でバッハトランペットの素晴らしい間奏を聴きながら、キーBからキーAへの旅行をさらに2回繰り返します。

 

そして3回目のサビです、そろそろ曲も終わってもいい頃ですね。

ブラスやチェロの様子が、いよいよ曲が終わりに近づいてきたことを予感させます。

このまま旅先のキーAで生涯を終えるのか?

もちろんそれも可能だし、自由です。

 

ポールはまたしても mean while back! (さてさて、話を戻して・・・)と今までと同じようにキーBに戻る気満々です。

コードも同様に戻り先のドミナントセブンス F#7で強い3拍が打たれます。

またAメロに戻るのか!?ちょっとしつこいぞ。

 

と、思いきや、なんとポールはもう一度サビのメロディを歌い続けるではありませんか!

しかもキーはAメロのキーであるBに戻っているのにです!

 

今までのキーBとキーAを行ったり来たりしていたのは、全てこの最後のサビを全音上転調して最高のクライマックスを迎えるためのの布石だったのです。

 

なんと晴れ晴れとした、澄み渡った景色でしょう。

バッハトランペットが郊外の青い空に響き渡り、無事元のキーBに帰ってきて、この素晴らしい旅は終了しました。

 

そもそも、なぜB?

なんでキーBなんていうピアノでは黒鍵だらけの弾きにくいキーで作ったのかと思っていたら、テイク6ではキーCで演奏されています。

ということはもともとCで作って、何らかの理由で半音下げたんですね。

 

考えられる理由としては、ポールがテレビで見て感激して加えたというバッハトランペットが演奏しやすいキーにした。

ぼくはトランペットの演奏上のことはよくわからないので、なんとも言えません(笑)

 

もう1つの可能性は、最後の転調を思いついて、いざ歌うとなった時にちょっとキーが高すぎたので半音下げた。

 

本当はどうなんでしょうね?^^

 

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