みんな元気か、トミー(@TomoyaTommy1203)だ。
今回でドミナントの話は一旦終了
と言ってもドミナントは楽曲の肝なので今後もたびたび登場することになるだろうね。
理論はあくまで理論
「音楽理論を学びやがれ」などという高圧的なタイトルを付けておきながら、なんだけど、音楽理論を学ばないと作曲ができないなどということは一切ない。
音楽理論はあくまで出来上がった結果に対して、誰でもわかるように体系的にまとめたモノに過ぎない。
とういか作曲をはじめた初期段階で楽典などととにらめっこしても、作曲そのものがイヤになるだけである。
それは英語を文法から始めたり、スポーツをルールブックの熟読から始めるのと似てるね。
感覚だけで数十曲作った結果、「なんかいつも展開がワンパターンだな」とか、「メロディがありきたりだな」という悩みが生じてきた時に、勉強し始めればいい程度のモノだと思う。
ただ、弾き語る以上の楽曲、効果的なストリングスのアレンジが必要だとか、複雑なハーモニーを構築する必要があるという人は、作業の効率化のためにガマンして勉強しよう(笑)
これは音楽理論ではなく、作曲の心構え的なことだけど
あの天才ソングライティングコンビ、レノン・マッカートニーですらデビュー前に50曲以上書き捨てた曲があったというではないか。
デビューアルバム Please Please Me に収められているオリジナル曲はそのような屍たちを乗り越えた珠玉の作品群なのであろう。
我々凡人などは100曲くらい習作があって、ようやく作曲が体になじんでくるくらいの覚悟が必要だろうね^^;
シャープ9th、フラット9th
前々回の If I Fell の時にドミナント9thの話が出てきたけど、これはその9thの拡張だ。
9thの音を半音上げるのが、ドミナント・セブンス#9
If I Fell のドミナント9thの時はEだった9thの音が半音上がってFになってるね。
[コード名: D7#9]
第9音 F(ファ)
第7音 C(ド)
第5音 A(ラ)
第3音 F#(ファ#)
ルート音 D(レ)
なんとコード内に F#とF という半音違いの音が混在しているので、かなり不協和音なコードだけど、オクターブ近く離れているので、完全な不協和音とはならないんだ。
You Can’t Do That [0:22]
ジョンはこの #9 をヴォーカルでやってのけている。
Because I told you before oh, you can’t do that
バッキングのコードはD7で、キーGのドミナントだ。
その時に黄色でマークした歌詞の部分の音程は F なので、D7に対して#9という不協和音で怒りを露わにしているんだね。
前にも言うたやんけ!
・・・と
ただのドミナント・セブンス程度じゃあ収まらないほど、ジョンはご立腹なのだ(笑)
I Me Mine [0:27]
映画「Let It Be」でジョージがこの曲をみんなに聞かせるシーンがあったね。
そこに挿入されるジョンとヨーコが踊るカットが印象的だった。
この曲のキーはAマイナーでワルツから強烈なシャッフルへとリズムが変わる、ジョージらしい変な曲だ(笑)
問題の箇所はドミナントであるE7にフラット9thが加わるところ。
Now they’re frightened of leaving it. Everyone’s reading it. Comin’ on strong all the time.
[コード名: E7b9]
第9音 F(ファ)
第7音 D(レ)
第5音 B(シ)
第3音 G#(ソ#)
ルート音 E(ミ)
これもルート音のEと半音違いの F がテンション・ノートとして加えられている。
Aマイナーキーの暗さに不協和音が加わって、なんともいえない緊張感が出ているね。
合わせ技
さあ、ドミナントの最後を飾るのはオーギュメント5thとシャープ9thの合わせ技だ!
曲はコーラスの難しさでは1,2を争う Drive My Car
Drive My Car [0:16]
サビへ行く直前の
But you can do something in between.
コードはキーDのドミナント・セブンスであるA7だが、この異様に難しいヴォーカルハーモニーによって複雑なテンションと不協和音を構成している。
誰もルートのA音やサードのC#は歌っておらず、
ポール G フラット7th
ジョージ E# (F) オーギュメント5th
ジョン B# (C) シャープ9th
という不安定な音のみで構成したようなすごいヴォーカルパートだ!
そしてサビでトニックのDが期待されるところを、さらに平行調のBmで裏切るという技が続く。
アルバム ラバーソウルの1曲目から、明らかにビートルズが音楽的に成長していることを証明するかのようなヴォーカルアレンジだね。
さて、数回に渡って音楽の気持ちよさの肝であるドミナントの使い方を見てきた。
ビートルズはドミナントの使い方だけを見ても、このように多彩な音使いがされているのがわかったと思う。
特にコードに対するヴォーカルメロディ・ハーモニーの取り方は、作曲をしている人には大いに勉強になるだろう。
次回以降はセカンダリ―ドミナントの話に移ろう!
今日のポイント
- 理論はあくまで理論、結果が出せるなら理論などいらない。
- 9thはシャープもフラットもさせることができる。
- ビートルズをマネて、ドミナント・モーションのところで積極的にテンションを使ってみよう。
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