みんな元気か、トミーだ。
ことあるごとにこの「黒船」のことは書いているが、何回書いても書きすぎということはないくらい素晴らしい音に満ち溢れたアルバム。
ぼくの大好きなトノバンこと加藤和彦が率いる初代サディスティック・ミカ・バンド
プロデューサーにクリス・トーマスを迎えて制作されたセカンド・アルバムがこの黒船だ。
といってもスタジを録音は3枚で解散しちゃうんだけどね。
メンバーは
ヴォーカル: ミカ
ベース/ヴォーカル/パーカッション: 小原礼
ドラム/パーカッション: 高橋幸宏
キーボード/サックス: 今井裕
ギター: 高中正義
常に時代を先取りしていたポップセンスの塊、加藤とバックはウルテク集団、無敵の布陣
そしてなんといっても当時の加藤夫人であるミカの存在感が、後に再結成されたミカ・バンドとこの初代ミカ・バンドとを全くの別物にしているのだ!
A面
レコードでA面にあたるのが、墨絵の国へ~黒船(嘉永6年6月4日)だ。
インスト曲が大半を占めてかなりプログレッシブな雰囲気が漂うが、そこに突如割り込んでくるタイムマシンにお願いのインパクトは強烈だ。
墨絵の国へ
厳かなエレピの独奏でアルバムは幕を開ける。
2分半ほどの長いイントロの後、トノヴァンが姿を現す。
トノヴァンのボーカルの後をぴったり追うような高橋幸宏の朗読が不気味にも美しい。
何かが海をやってくる
小原のベースが船の速度を上げるように迫ってくる。
高橋、今井、高中もそれに続く。
次第にバンドは激しさを増し、黒船の襲来を圧倒的な存在感でもって墨絵の国の人々に知らせるのだ。
タイムマシンにおねがい
言わずと知れた一気にテンションMAXなロックチューン
数々のカバーあれど、ミカの存在感の前では誰もがかすんでしまう。
きらめく黄金時代は ミンクをまとった娘が
ボギーのソフトにいかれて デュッセンバーグを夢見る アハハ〜ン
なのだ、参りました!!
リフレインから突然終わるエンディングはビートルズのI Want Youへのオマージュに違いない!
黒船(嘉永6年6月2日)
ポップセンス爆発な前曲から一転、高橋の激烈カッコイイフィルインから何拍子なのかわからない変態ファンクが始まる。
ここから黒船を冠した3曲はインスト曲メドレーだが、こんなしびれるインスト曲を他に知らない。
黒船(嘉永6年6月3日)
黒船(嘉永6年6月4日)
リズム隊が暴れていた6月2日と6月3日から、A面の最後は高中の荘厳なリードギターで幕を閉じる。
いやーA面だけでもお金を払う価値があるくらい素晴らしいね。
B面
B面は歌モノで構成され、幕末の文化が存分に描かれた名曲が並ぶ
プログレッシブなA面との対比も素晴らしい・・・今は面の区切りがないから、こういうコンセプトアルバムもなくなってしまったな。
よろしくどうぞ
ちんどん屋の雰囲気を出すために、スタジオ内ではなく横の路地で録音されたというお遊び曲でB面は始まる。
A面とは違いすべて歌もので、江戸時代の庶民の風景が描かれている。
どんたく
7日に1日は仕事もお休みさ! アーハーハー
どんたくの語源はオランダ語の日曜日
曲自体はトノヴァンの最高傑作の1つといってもいいくらいで、スタジオ録音の完成度とテンションも異常なほどに高い。
再現は難しいようで、ライブ盤でいいのは聴いたことがない(笑)
トミーはこの曲が好きすぎるが、何回聴いても飽きない名曲だ!
四季頌歌
テンション高い曲に挟まれて、ちょっと一息、ホッとする佳曲だ。
頌歌(しょうか)と読めなかった(笑)
四季を称える歌ということです。
塀までひとっとび
これぞファンキーミュージック!!
この曲を聴くと、江戸時代の人は現代の日本人よりファンキーだったんじゃないかと思ってしまうほど、想像力をかきたてられ惹きこまれてしまう。
颱風歌
まず颱風ってこんな字もあるんやって思った(笑)
1文字目だけで台風って言うてしもてるやん(笑)
さようなら
嵐のあとの静けさである。
トノヴァンの声とアコギがせつない音で鳴り響く。
さようなら。
1974年にリリースされた本作は1mmたりと古びていない、永遠の名盤だ。
ぜひあの世に行く時はCDを持っていくか、iPodに入れておきたまえ。