みんな元気か、トミーだ。
初期ビートルズサウンドの象徴とも言えるハーモニカ。
しかしビートルズのハーモニカ事情は今でも世界中で物議を醸しているくらい、ちょっと面倒くさい。
面倒臭さの大半はキーと、出さなければならない音についてだ。
これはビートルズ、というかジョン・レノンがハーモニカをストーンズのアプローチのようにブルース楽器としてサウンドに取り入れているのではない、というところが大きい。
ビートルズのブルースの解釈はとてつもなく広いので、黒人のブルースをそのままコピーしていたストーンズとは全くアプローチが異なるのだ。
キーEで出ない音
その面倒臭さとジョン・レノン自身がライブやBBCのセッションといった生演奏ではほとんどハーモニカを使っていないこともあり、世のビートルズフォロワー達もPlease Please MeやFrom Me To Youを演奏する時にハーモニカを吹くことは少ない。
よって
Please Please Meはステージではハーモニカを使わなくてよい。
というのがビートルズバンド業界の暗黙のルールとなっているので、この曲のハーモニカの面倒臭さはあまり表に出てこないのだ。
エンディング以外はヴォーカルを取りながら吹くことは不可能ではないので、吹いてもよさそうなのだが誰も吹こうとしない。
あの圧倒的存在感のハーモニカリフをである。
サウンド的に吹いたほうがいいに決まってるのだが、ジョンもやってないし・・・
そんなこと言い出したら、リボルバー以降の曲などビートルズ自身ステージで演奏していないじゃないか(笑)
よし、Please Please Meを吹くぞ!キーは何だ?Eだ。
と勇んで10ホール・キーEのホーナーマリンバンドなんかを購入するのだが、多くのジョンパートの人はここで愕然とするのである。
音高っ!
・・・よし、1オクターブ下で吹くぞ・・・
え・・・?あれ?下のポジションだとC#の音がない・・・orz
Please Please Meのイントロは
E D# C# B C# B G#
なので、5〜7番穴で吹こうとするとレコードより1オクターブ高い、アホみたいな音になってしまう。
それでは下で・・・と2〜4番穴で吹こうとすると、あら不思議、こっちにはC#の音はない。
通常のEメジャーキーのハーモニカでPlease Please Me、そして同キーのThere’s a Placeはレコードのように吹けないのである。
Low-Eを使おう
ではジョンは何で吹いているのか?
1オクターブ低いキーEのEcho Vamperという説が有力である。
1オクターブ低いLow-Eキーを使い、5〜7番穴で吹くと、ちょうどレコードの音で、めでたしめでたしC#の音も出るというわけである。
使用楽器でギターなんかは結構文献や情報もあるんだけど、ハーモニカに関しては情報が少ない。
そんな安いものでもないので買って失敗するとダメージもでかい(笑)
使用頻度はそんなに高くない、とくれば、
「ステージでは吹かなくていいや」
となって当然であろう。
何度もいうがジョンもステージで吹いてないし・・・無理に吹かなくても・・・いいか(笑)