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ビートルズで音楽理論を学びやがれ! ドミナントの応用(後編)

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みんな元気か、トミー(@TomoyaTommy1203)だ。

 

前回に引き続きドミナント・コードをさらに拡張したコードや、基本的なドミナント・モーションを超えた応用編だよ。

 

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ビートルズで音楽理論を学びやがれ! ドミナントの応用(前編) みんな元気か、トミー(@TomoyaTommy1203)だ。   前回、ドミナントやドミナント・セブンスがなぜ緊張や不安を生み、それがどういう仕組みで解決されるかを説明した...

 

目次

オーギュメント5th

前回やった9thや6thはドミナント・コードにさらに音を付け加えていたけど、トライアドの第5音を半音上げたコードがこのオーギュメントだ。

 

例えばキーCで、VがGの場合、コードの構成音は次のようになる

[コード名: Gaug]

第5音  D#(レ#)
第3音  B(シ)
ルート音 G(ソ)

 

オーギュメントとは増強するっていう意味で、ちょっと雰囲気を変えたい時、トライアドの安定感から少し外れてフワフワさせたい時に使われるコードだ。

コード内の音を半音ずつ変化させるクリシェにも使いやすい。

 

コード進行における構成音の流れもスムーズなので、比較的使いやすいコードといえる。

 

It’s Only Love [0:15]

歌詞でいうと、

My oh my butterfly の部分だね。

コード進行的にはドミナントのGからトニックのCに戻るところだから、オーギュメントじゃなくてV7のG7でもいいところなんだけど、ドミナント・モーションで解決させるほどこの恋は確定したものじゃないって感じだね。

 

ジョンはこのちょっと軽めのラブソング、男がちょっといい女を見るフワフワした気持ちをオーギュメントで表している。

G → Gaug → C

という進行の中の構成音の動きは

G → G → G (Gをキープ)

B → B → C (トニックへ戻る時に半音)

D → D# → E (半音づつ上昇)

 

という半音の動きだけの、非常になめらかな進行というのがわかるね。

 

ジョンはデビュー前からこのオーギュメントの使い方を、昔のカバー曲から体で学んでいたから、最初期の曲にもオーギュメントを使った曲が見られる。

Ask Me Why [0:48]  I can’t believe~ のパートに入る直前

From Me To You [0:48]  keep you satisfied ooh! ブリッジからヴァースに戻るところ

Oh! Darling イントロやヴァースに戻る直前でEaugコードが鳴る

One After 909 [1:11] welllllll の部分はビートルズお得意のヴォーカルメロディによるオーギュメントの構築。

バッキングのギターはF#7なんだけど

ポール F#

ジョン D

 

ジョンが D音 を出すことによって、和音的にはF#のオーギュメントになるんだね。

この曲はデビュー前に作曲していた曲なんだけど、その時点ですでにこのヴォーカルアレンジはなされていた・・・

ジョンとポールのこういったメロディ・ハーモニーセンスには本当に脱帽だ。

 

サスペンデッド4th

通常のメジャートライアドの第3音を半音上げて完全4度の音にしたコードがこれだ。

通称サスフォー

サスペンデッド(宙ぶらりん)の名の通り、安定した3度が4度になってしまうので、コードの響きは、明るいのか悲しいのかなんとも曖昧な感じになってしまう。

 

[コード名: Esus4]

第5音  B(シ)
第3音  G#(ソ#)→ A(ラ)これが完全4度の音
ルート音 E(ミ)

 

そしてこの4度の音はすぐにでも3度に戻って安定したがる力が強いんだ。

3度に戻った時はとても気持ちいいので

sus4 → トライアド

の動きは一時日本のGSや歌謡曲でも中毒者が続出したくらいだ(笑)

 

これはドミナント・モーションのようなコード進行というよりは、コード内での一時的な音の動きだね。

ドミナント・モーションの V の中で瞬間的にsus4を挟むということはよく使われるテクニックなので覚えておこう。

 

If I Needed Someone [0:51]

 

ジョージ・ハリスンの12弦ギターの気持ちいい響き

ドミナント・モーションの気持ちよさ

そしてsus4 → トライアド

これでもかというくらい気持ちよさを重ねたのが、この曲のブリッジからヴァースに戻る部分だ。

 

曲を見ていると、特にポールはこの音の動きが好きみたいだね。

全部セクション終わりの部分で使われているよ。

For No One [0:37] 

Lady Madonna [0:42] 

Penny Lane [1:07]

 

We Can Work It Out

 

この曲って明るい曲?暗い曲?と聞かれても困ってしまうよね。

それもそのはず sus4 まみれの曲だからだ(笑)

 

sus4 は中毒性があると言ったけど、この曲はすべてのセクションにsus4が仕込まれており、それがこの曲を飽きさせない、何度も聴きたくさせる理由かもしれないね。

ジョンとポールによる陰と陽の対比

ジョージのアイディアだというリズムアレンジ

これぞビートルズの曲といった感じ!

 

まず、いきなりイントロなしでポールのヴォーカルから始まるヴァースは、トニックであるDコードの時は常にsus4とトライアドを行ったり来たりしている。

そしてタイトルが2回歌われるフック部分の2回目の out のメロディに注目して欲しい。

We can work it out. We can work it out

ドミナントセブンスである A7 の時にポールは

D → C#

と歌うのだ。

ヴォーカルメロディで、4 → 3 をやってるんだね。

 

そして平行調である Bm に移って影を落とすジョンのセクションでもさりげなく sus4 が登場するよ。

開始から44秒のところで

F#7sus4 → F#7

という動きがある。

 

すべて計算ずくなのか、やってるうちにそうなったのか・・・それは永遠の謎だ。

 

今日のポイント

  • トライアドの中の音を変えることで、ドミナントコードにさらに味付けできる。
  • サスフォー中毒に注意。

 

うーん、ドミナントの応用が終われなかった!

次回こそドミナント最終回!

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ビートルズで音楽理論を学びやがれ! ドミナントの応用 さらなるテンション みんな元気か、トミー(@TomoyaTommy1203)だ。   今回でドミナントの話は一旦終了 と言ってもドミナントは楽曲の肝なので今後もたびたび登場することになるだろうね...

 

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この記事を書いた人

ビートルズ、デヴィッドボウイ、太宰治、ジョジョが大好き。
ネットにつながるスナフキンを目指し、ブログを運営する。

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