ここではDAWの使い方を1から説明することはしないので、DAWにCDから取り込んだ音源を読み込んで、プラグインでコンプレッサーやEQを挿入するのはできることとして話を進めるね!
コンプレッサーの基本動作
マスタリングやミキシングの作業で欠かせないエフェクトといえばコンプレッサーだ。
コンプレッサーの効果をカンタンに言うと
設定した音量より、はみ出した大きな音を圧縮して小さくする。
ギタリストはコンプレッサーというと地味でよくわからないエフェクターという印象を持つ人も多いかもしれないので、まずコンプレッサーの基本動作を理解しマスターしよう。
ギタリストのイメージするコンプレッサーの代表
コンプレッサーのわかりにくさは、その効果が調整する複数のパラメーターと入力音量の相互作用によって決まるからだと思う。
ギターのディストーションやリバーブみたいに1つのツマミを回したら音の変化が確実にわかるものじゃないというのがクセものだね。
調整する代表的なパラメーターを1つづつ見ていこう。
スレッショルド
まずはスレッショルド。
これでコンプレッサーが効き始める音量を設定する。
つまり
「この線を超えたらアカンよ〜 頭シバいてヘコますよ〜」
って値だ。単位はdB(デシベル)
スレッショルドの設定が浅い(甘い、全然シバかない)とスレッショルド以下の音はコンプがかからないわけだから、「全然効果わからないな〜」ということになりかねないパラメーターだ。
レシオ
次はレシオ
レシオはスレッショルドを超えたヤツをどれくらい強くシバくかの設定だ(笑)
設定値は2:1とか4:1、8:1みたいな感じなんだけど、これはそれぞれ2分の1、4分の1、8分の1にヘコますってこと。
レシオのツマミはたいてい左の値を設定する形だから、2とか4とかっていう風に設定する。
レシオ3と設定したら、スレッショルドをはみ出した分を3分の1に圧縮するってことだね。
コンプレッサーの基本動作はこれだけ。
元音の入力レベル、スレッショルド、レシオの三位一体となってエフェクトの効きが決定するということを肝に銘じよう。
アタック
アタックはスレッショルドを超えたヤツを速攻シバくのか、ちょっと待ってやるのかの設定だ。
コンプレッサーだからシバくのは決定なんだけど、かかるまでの時間を設定できるんだ。
時間と言っても人間にしたらすごく短い時間の単位(ミリ秒)なんだけど、この設定によって音の存在感を調整したり、一番音量の大きなアタック音をへこますことで、相対的にアタックより後ろの音量を上げることができる。
楽器にもよるけど、音の出だしにアタック音といって特徴的な音を含む楽器がある。
ピアノのハンマーが弦を叩く瞬間とか、ギターのピッキングの瞬間とかだね。
そのアタック音からコンプで潰すのか、アタック音は生かしておくかで音の存在感が違ってくるんだね。
リリース
リリースはアタックの逆で、スレッショルドを下回ってからもどれだけシバき続けるか(笑)
この時間が長いと、スレッショルドを下回ってからもしばらくコンプがかかった音が続くことになるし、短いとすぐにコンプが解除される。
楽器の鳴りを出したい時はリリースを短めにする。
アタック超早めのリリース遅めだとずっとコンプがかかった状態になるので、かなり特徴的なかかりかたになるけど、自然さは失われることになるね。
マスタリングではあまり不自然な音にならないように注意しよう。
ゲインリダクション
これは設定値じゃなくて、今どれだけコンプがかかっているかを目でもわかるようにするためのメーターだ。
製品によって若干呼び方は違うかもしれないけど、役目は同じ。
単位はdBで、スレッショルドとレシオの設定によって入力された音がどれだけ圧縮されているかを知ることが出来る。
このメーターや針が微動だにしていなければ、コンプはかかっていない状態だ。
ギターのコンプがわかりにくいのは、このゲインリダクションが見えない機種が多いからかもしれないね。
ミックスやマスタリング用のコンプではそういうことはないだろう。
アウトプット、メイクアップ
そしてコンプは出音のレベルを上げることができる。
曲の中で音量が大きくなるところ、サビや出だしなどをコンプで抑えて、抑えた分出力を上げると、全体としてボリュームを底上げすることになるよね。
これがコンプを使って音圧を上げる基本的な仕組みなんだ。
では実際にDAWと今日勉強したコンプを使ってリマスタリング作業を進めていくよ!